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賢さん |
ケンさんと呼ばれる国語教師あり健さんの背中で獅子吼えしころ 登り切る丘の上なる川高は九の不潔と一の高潔 一年に過ぎねど教え給いたる丸顔眼鏡の諏訪山のぬし 賢さんと言えばコロンの匂いなりダンディと言うに少し過ぎしか 賢さんの活用カッパカッピカップカップカッペカッペ 授業中芝居の話に脱すれば教師は左右田一平が良いと 「男子校が気楽で好きだ」と言いし師よ世はジェンダーが問われる世へと 平明で静かにあれど怒りあり遺歌集に読む賢さんの歌も 師の年譜開けば生年享年が父に近かり句を捨てし父 今日もまたイラクで多数の死者ありと 賢さんの憂いが漂い続ける 仏花さえ購い難き身にあれば弔歌十首をポストに託す |
禁断の恋 |
三日月の刃はヌメるごと光りいて星すべからく傅(かしず)かせなむ 枯れざれば組木細工の嵌(はま)るべき箇所はあれども反り返りいて 浴槽にさやさやと波たてながら入浴剤溶け×××の欲情 空を飛び来たる想いをケイタイに受ければこれも空想と謂うか 壊れゆく心うれしも壊れざる世界に小さき反逆として 「禁断」を辞書にて引けばほろほろと「禁断症状」「禁断の木の実」 一生を捨てるにあたう一夜あらば生きる力となるや一世を 「浮気じゃない、これは本気」とドラマなら叫んでエンドマークが出るも |
1なれば |
桜咲き桜は散れどにんげんは根もなく咲かず散ることもなく 雪原に鹿立つ壁紙貼りきしが桜の画像を検索してみむ パソコンに桜の壁紙貼ってみる本当の桜はまだ見ていない 電飾の無き裏道に街路樹が太古の森の声をささやく 久々に並びて歩く家までを父は優しも夢の中にて 介護という愛の機会もくれなくて淡泊だったよほんとに父は 夏の沼目をこらせども青い鳥探す力さえ格差があって 報われぬ恋に消えにし人魚姫の像は幾度も破壊されりと 青天に猛禽一羽とどまりて塵舞う地上の人と隔たる 1なれば何も引かれず多く持つ人はそれだけ孤絶のあらむ 群れることに倦みて一線引きたしとぼんやりすれば伸びるラーメン 冬のなき春を迎える温暖化人なき広場に電飾揺れぬ |
いまのまさし 2007